志望動機の強さと定着

聞けば聞くほどその人の人生が浮き上がってくる。

もう、15年以上も前の話だ。

当時、面接官をしていたわたしの質問に

「そこまで強い思いいれがあったのか」と唸らせる

応募者がいた。

 

その応募者を面接したのは本当に偶然だった。

人事担当者の何気ないこんな一言がきっかけだ。

 

「つなぐさん、ちょっと変わった問い合わせが来てるけど、

 この人に会ってみる?」

 

その時、私の会社は中途採用を積極的に募集をしていたが

彼からのメールは応募したいというより、

会社について知りたいというものだった。

 

「面白そうですね、じゃあ、まず私が話聞いてみますよ」

と気軽に時間を設定をしたがここから彼とは、

長い付き合いになる。

 

「なんでうちの会社に興味を持ったの?」

「それは何か原体験になるようなものがあったの?」

「その時どう感じたの」「なぜそう思ったの」

「今の会社(大手の金融系でだいーぶ好待遇)より年収下がるよ」

 

ここではあえて詳細は伏せるが、

彼が私の会社(超ニッチ分野の企業)に興味を抱いたきっかけを

彼の歩んできた人生とともに、

明快に言語化して語りつくしてくれた。

 

そして、今もかれはその会社にいる。

フロントの営業マンから始まり、経営企画、

シンクタンク的な組織の立ち上げなど縦横無尽とは

まさにこのことだというくらい活躍している。

 

リストラの嵐が吹き荒れても、

ボーナスがカットされても、

家族ができて退職する人間が多くても、

(給与面の魅力が弱く家族を持つとしんどい・・・。)

彼はその組織に属することをやめなかった。

 

その組織に属する思い、動機がこれほどまでに大事なのか

と私の心に深く刻まれることになる出来事だった。